妊活中のコンビニ飯、何を選べばいい?管理栄養士がオススメを紹介
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妊活中の男女にとってコンビニのご飯は一見不健康に感じられますが、組み合わせ次第では妊活中の身体作りに役立てられます。この記事では、コンビニで売られているおすすめの食べ物や組み合わせ方をご紹介します。
コンビニでご飯を選ぶ3つのポイント
1.栄養バランス
栄養素は、体のエネルギー源になる炭水化物、体を作るたんぱく質や脂質、体の働きを整えるビタミンやミネラルに分けられます。それぞれの栄養素が異なる作用を持ち、体内でお互いに関わり合って働いているため、偏らずにバランス良く食べることが大切です。
必要な栄養素を揃えるには、主食、主菜、副菜を組み合わせた食事をとりましょう。
- 主食:ご飯・パン・麺などの炭水化物源となる食べ物
(例)おにぎり、ロールパン、うどん、そば - 主菜:肉・魚・卵・大豆製品を使った、たんぱく質源になる料理
(例)サラダチキン、ハンバーグ、焼き魚、玉子焼き、豆腐 - 副菜:野菜・海藻・きのこを主に使った、ビタミン・ミネラル・食物繊維の摂取源になる料理
(例)サラダ、和え物、ひじき煮、野菜入りみそ汁
おにぎりだけ、パンだけといった食事では、炭水化物に偏りやすいため注意が必要です。他の食べ物と組み合わせて食べましょう。
2.食品に関連する数字
コンビニで売られている食品には、以下の栄養成分が表示されています。
- 熱量(エネルギー)
- たんぱく質
- 脂質
- 炭水化物(糖質、食物繊維)
- 食塩相当量
それぞれの数値の目安を知っておくと、商品を組み合わせるときの参考になるでしょう。
特に気をつけたいのはエネルギー、たんぱく質、食塩相当量です。
エネルギーは、食事の量の目安になります。体格や活動量によって、必要なエネルギー量は異なります。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」1)によると、身体活動量が低い~ふつうの成人女性が1日に必要とするエネルギー量は、およそ1,700~2,000kcalです。1日3食とるとして単純に3で割ると、1食600kcal前後になります。
たんぱく質は、筋肉や臓器、皮膚、髪など、体をつくるもととなる栄養素です。また、体の働きを支える酵素やホルモンもたんぱく質からできています。
成人女性の1日の推奨量は50gであるため、1食で15~20gを目指すとよいでしょう。肉や魚のおかずでは足りない場合、ゆで卵やヨーグルト等を組み合わせると達成しやすくなります。
食塩相当量は、女性は1日6.5g未満が目標とされています。
妊娠後によくある疾患のひとつに、妊娠高血圧症候群があります。以前は妊娠中毒症といわれていた疾患で、脳出血やけいれん発作などの母体への影響、胎児の発育不全など、さまざまな影響がみられます。2)
妊娠高血圧症候群の予防のために、妊娠前から減塩を心がけることが大切です。
しかし、日本人は塩分を多くとりすぎている傾向にあります。2019年の国民・健康栄養調査3)によると、20歳以上の女性の平均摂取量は1日9.3gであり、目標量を約3gオーバーしていました。
コンビニの食事は特に塩分が多い傾向にあり、食塩相当量が5gを超えるような商品もあり、厳守するのはかなり難しいといえます。
それでも、少しの工夫で塩分カットが可能です。サラダのドレッシングやお弁当のしょうゆ、ソースなどの調味料は控えめに使いましょう。また、麺類やスープ、みそ汁の汁は飲まずに残すのがおすすめです。
3.食品添加物
コンビニの食品には、食品添加物が含まれています。賞味期限を長くするため、また色や味をよくするために使われており、作られてから長時間流通するコンビニ食には必要なものです。
食品添加物は「食品衛生法」に従って、純度などの規格や使用できる量などの基準のもと使われています。また、コンビニ各社も着色料などの食品添加物を減らす取り組みを進めています。そのため、食品添加物によって健康を損なう可能性は低いといえます。
実際に、日本人の1日の平均的な食生活に当てはめて食品添加物の摂取量を計算した結果では、健康への悪影響がないとされる「一日摂取許容量」を大きく下回っていました。4)
ただし、同じものを食べ続けるなどの偏った食事では食品添加物をとりすぎてしまうリスクもゼロではありません。
例えばゼロカロリー飲料などに含まれる人工甘味料は、カロリーはないものの肥満の予防にはつながらず、糖尿病や心臓病のリスクを高める可能性が示されています。5)
また食品添加物とは異なりますが、パンやお菓子などに含まれるマーガリンやショートニングも気をつけたい原料です。これらに含まれるトランス脂肪酸は、血中のコレステロール量を増やし、心臓病のリスクを高めることが知られています。
日本では欧米に比べ摂取量が少ないため制限は設けられていませんが、偏った食事はとりすぎにつながるため注意が必要です。1)
バランスが良くなる!おすすめの組み合わせ
おにぎり×たんぱく質入りのサラダ
おにぎりだけで食事を済ませると、炭水化物に偏ってしまいます。血糖値が急激に上がることで、食後の眠気やだるさなどの不調につながる可能性もあります。
おにぎりを主食とし、主菜・副菜を組み合わせると、血糖値の急上昇を防げます。最近は鶏肉やツナ、卵などのたんぱく質がとれるサラダが多く売られています。主菜と副菜の両方がとれる一品です。
減塩のため、サラダにかけるドレッシングは使い切らずに残すとよいでしょう。
親子丼×野菜入りインスタントみそ汁
コンビニに多い丼物は、主食と主菜が同時にとれる料理です。ここに、フリーズドライの野菜入りみそ汁を組み合わせると、副菜がプラスされバランスが整います。みそ汁は保存が効くため買い置きもおすすめです。さらに、入れるみその量を減らすと減塩になります。
卵サンドイッチ×野菜ジュース×ヨーグルト
パンを食べたいときは、卵やローストチキンなど、たんぱく質源になる具材が多いものを選ぶとよいでしょう。卵サンドだけではたんぱく質がやや不足するため、ヨーグルトを組み合わせて補います。高たんぱく低脂質のギリシャヨーグルトを選ぶのがおすすめです。
野菜がとれないときは、野菜ジュースを活用するのも手です。野菜ジュースからは食物繊維やβ-カロテンなどの野菜の栄養素を補うことができます。ただし、ビタミンCなど失われてしまう栄養素もあるため、野菜ジュースだけで野菜の栄養素をすべて摂取できるわけではないことに注意が必要です。1日小パック1本を目安に、あくまで補足として活用しましょう。
また、果物よりも野菜が多く使われた商品を選ぶのがポイントです。果物が多い商品は糖質のとりすぎにつながります。
そば×豚汁
コンビニの麺類は具材がないか少量であることが多いため、栄養が炭水化物に偏りがちです。レトルトやチルドで売られている具だくさんの豚汁からは、主菜と副菜を同時にとれます。組み合わせて食べるとバランスが整えられます。
身体づくりのために!とりすぎに注意すべき食品
菓子パン
菓子パンは炭水化物と脂質が多く、カロリーが高いのが特徴です。種類やサイズによってもカロリーは異なります。
- あんパン 295kcal
- チョコデニッシュ:408kcal
- コッペパン(ジャム・マーガリン入り):471kcal
- メロンパン:498kcal6)
特に脂質は1gあたり9kcalとカロリーが高く、パンのカロリーに大きく影響しています。マーガリンが塗られているコッペパンや、生地にバターが多く使われているクロワッサンやデニッシュ生地のパンではカロリーが高くなります。
一方、これらのパンにはたんぱく質や食物繊維、ビタミン・ミネラルが少ないため、栄養の偏りにつながります。
食べたいときは食事にはせず、間食・おやつ感覚でたまの楽しみとして取り入れましょう。
ホットスナックの揚げ物
レジの隣にあるホットスナックの揚げ物は、油が多くカロリーが高い食べ物です。
また、コンビニの揚げ物は何度も調理した油が使われたり、調理してから長く置かれたりすることが多くあります。
油が高温や光、空気に長くさらされ続けることで、油の酸化が進みます。酸化した油は風味や栄養価を低下させるだけでなく、胸やけや吐き気、腹痛、下痢を引き起こす可能性があります。食べすぎは控えましょう。
カップ麺
カップ麺に含まれる油も、高温調理されたのち長時間空気にさらされることから、酸化が進みやすい状態にあります。また、炭水化物や脂質が多く、栄養も偏りやすい食べ物です。
さらに塩分が多く、中には1個で塩分相当量が6gを超えるものもあります。これはほぼ1日分の塩分に匹敵する量です。スープだけでなく、麺そのものにも塩分が含まれることに注意が必要です。
インスタント食品はカップ麺ではなく、野菜入りのみそ汁をおにぎりやパンと組み合わせるのがおすすめです。具材はフリーズドライなので、酸化している油は使われていません。また、みその量で塩分量を調節することもできます。
【番外編】コンビニで買えるオススメおやつ
ナッツ
糖質が少ないことからも人気のおやつです。たんぱく質や鉄、亜鉛などの補給に役立ちます。
アーモンドは抗酸化作用が強いビタミンEを豊富に含みます。くるみはコレステロールを下げるn-3系脂肪酸が多く含まれます。
ただし脂質が多くカロリーも高いため、1日1回手のひらに乗る量を目安に食べましょう。また、砂糖でコーティングされているものや塩などで味つけされているものよりも素焼きのものがおすすめです。
果物
果物からはビタミンCや食物繊維がとれます。太るというイメージがあるかもしれませんが、実はお菓子よりもカロリーは低めです。
最近はコンビニでも果物が買えます。バナナやカットりんご、冷凍のマンゴーもおすすめです。 栄養補給しながら自然の甘さが楽しめます。
高カカオチョコレート
一般的にカカオの含有量が70%以上のチョコレートを指します。カカオに含まれるポリフェノールには抗酸化作用があり、細胞のサビつきを防ぐことで動脈硬化や老化の防止に役立つとされています。
ただしチョコレートは脂質が多く、カロリーも高いのが特徴です。高カカオチョコレートであっても、一般的なミルクチョコレートとカロリーはほぼ同じです。食べすぎには注意しましょう。
個包装のお菓子
お菓子を禁止する必要はありませんが、食べすぎには注意したいものです。そんなときは、個包装で売っているお菓子を選ぶのがおすすめです。
コンビニでは1個単位で購入できるお菓子もあります。今日食べる分だけを買うようにすることで、食べすぎを予防できるでしょう。1日200kcalまでを目安にお菓子を楽しみましょう。
プロテインバー
食事でたんぱく質を十分にとれない場合におすすめです。またプロテインバーは糖質に比べ消化が遅いため、腹持ちが良いのもメリットです。
ただし、たんぱく質は多いほど良いわけではありません。食べすぎると腸内環境の悪化やカロリーオーバーにつながるため注意しましょう。おやつのプロテインバーからとるたんぱく質の量は、10g程度を目安にするとよいでしょう。たんぱく質10gは卵1.5個分、成人女性が1日で必要な量の1/5に相当します。
コンビニを上手に活用して、手軽に栄養をとろう!
不健康なイメージを持たれがちなコンビニ食ですが、最近ではさまざまな種類の食品が売られているため、組み合わせ次第ではバランスの良い食事も可能です。
考え方の基本は、普段の食事と同じです。主食・主菜・副菜の組み合わせを意識し、パッケージの栄養成分表示も参考に食事を整えましょう。脂質の多い食べ物はカロリーオーバーにつながりやすいため量や頻度に気をつけ、適度に楽しみましょう。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08517.html
2)国立研究開発法人国立成育医療研究センター「妊娠高血圧症候群(PIH)」
https://www.ncchd.go.jp/hospital/sickness/children/037.html
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/eiyou/r1-houkoku_00002.html
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuten/qa_shohisya.html
5)日本WHO協会「WHOガイドライン:体重管理に非糖質甘味料を使用しないよう勧告」
三樹彩夏
小児科・内科クリニックに勤務後、2020年にフリーランスに転身。「健康的な生活を当たり前にする」をモットーに、ダイエットサポートやライター業を通して食の大切さを伝えている。