妊活は2人ですることだから。最初に話し合いたい10のコト
- 妊活
妊活は、夫婦二人で協力しながら行うことが大切です。足並みを揃えて進むため、まずは話し合いをして、妊娠や出産、育児、将来についての考えを共有しておきましょう。この記事では、最初に話し合っておきたい10個の項目を紹介します。
自分の考えを素直に伝えるとともに、相手の話にも耳を傾け、お互いの価値観を尊重しながら話し合えると良いですね。
1.子ども、欲しい?
妊活を始めるときにまず話し合いたいのは「子どもが欲しいかどうか」についてです。
妊活をするのだから「欲しいに決まっている」と思われるかもしれませんが、実は「どのくらい欲しいか」が夫婦間で異なることも少なくありません。「絶対に欲しい」人もいれば、
- 「自然に任せたい」
- 「できたらいいけど、できなくてもいい」
など、さまざまな考え方があります。
子どもが欲しい気持ちの強さが夫婦間で異なると、気持ちのすれ違いにつながることもあります。
パートナーからの協力が得られないことにストレスを感じたり、反対にパートナーのやる気がプレッシャーになったりと、せっかくの妊活が二人の関係を悪化させることにもなりかねません。妊活の前にきちんと話し合い、考えをすり合わせておくことが大切です。
2.いつごろ欲しい?
次に話し合いたいのは、「いつごろ欲しい」かです。
- 「結婚式や新婚旅行が終わってすぐ」
- 「結婚してしばらくは二人で過ごし、3年くらい経ったら」
- 「仕事でキャリアを積んで昇格したら」
など、さまざまな価値観があるでしょう。
子どもが成人して手を離れた後の人生設計を考え、何歳までに出産したいか逆算する考え方もあります。
ここで考慮したいのが、女性の出産のタイムリミットです。女性は年齢を重ねるほど、妊娠する力が低下することが知られています。
具体的には30歳以降、年齢が上がるほど妊娠率が低下し、35歳前後からは流産率も増加します。自然妊娠だけでなく不妊治療であっても、年齢による妊娠率や出産率の低下は同様です。1)
これからの人生設計に合わせて、子どもがいつごろ欲しいか、妊活をいつごろ始めるかをイメージしてみましょう。
3.どこで産み、育てる?
妊活が成功し無事に妊娠したら、その後は出産と育児が待っています。どこで出産し、育児をしたいか考えておくことも大切です。出産は
- 総合病院
- 産科・産婦人科専門の診療所
- 助産院
などで行われます。通いたい病院がある人もいれば、里帰り出産をしたい人もいるでしょう。現時点でイメージできる範囲でよいので、どこで出産するか希望を考えてみましょう。
その後の育児を考え、子育て支援が充実している地域や、学校や保育園・幼稚園が近い場所などに今のうちに引っ越すのも手です。
両親の協力を得たい場合は実家の場所も考慮する必要があります。重視したいポイントは人によって異なるため、どんな育児をしたいか、どこでするとそれが叶うか考えてみるのがおすすめです。また、家の間取りが足りるかも合わせて考え、引っ越しが必要か検討するとよいでしょう。
4.仕事はどうする?経済面は?
妊活と仕事をどのように両立させるか、費用はいくらまでかけられるかについても考えてみましょう。排卵日に性行為のタイミングを合わせる「タイミング法」であれば、仕事や費用の負担は少なく取り組めます。
一方、人工授精や体外受精といった治療を行う場合は、頻繁に通院する必要があり、時間的にも金銭的にも負担が増えます。突発的な受診も増えるため、仕事との両立が難しくなり、働き方を変えたり退職したりする人も多くいるのが現状です。2)
どのくらい時間が使えそうか、治療と仕事が両立できるようなサポート制度があるかなど、あらかじめ考えておきましょう。
また費用については、2020年の調査3)によると、人工授精1回で平均約3万円、体外受精1周期で約50万円でした。不妊治療にどの程度のお金をかけるかも事前に話し合っておくとよいでしょう。
また、出産後の仕事とお金のイメージも一緒に考えておくことが大切です。
仕事は出産を機に退職するか、産休・育休をとって職場復帰するかに大きく分かれます。それぞれにメリットとデメリットがあるため、どちらを選ぶのが正解ということはありません。
- 『仕事も好きだから続けたい』
- 『子どもが小さいうちはずっと一緒にいたい』
- 『子どもに仕事をしている姿を見せたい』
- 『経済力で子どものやりたいことをサポートしたい』
など、自分が何を優先したいかを考え、働き方を選んでいきましょう。
5.妊活~妊娠のイメージは合っている?
妊娠や出産、育児について夫婦の共通のイメージができてきたところで、次は妊活の具体的な方法について認識をすり合わせていきましょう。妊活とは、妊娠を目的にしたあらゆる行動を一言でまとめた言葉です。さまざまな不妊治療の方法のほか、妊娠しやすい身体を作るための生活改善なども含まれます。
自分にとって当たり前の知識でも、パートナーは知らないこともあるかもしれません。知識の差で誤解やすれ違いが生じる場合もあるでしょう。妊娠はどのように起こるか、妊活には何が必要か、どんな方法があるかを調べて話し合い、二人の知識量を揃えておくことが大切です。
6.スケジュールはどうやって共有する?
妊活にはさまざまな方法がありますが、排卵日に合わせて性行為を行う「タイミング法」から始めるのが一般的です。そのため、排卵日を把握し、夫婦で共有する必要があります。
直接伝えるのに抵抗がある場合は、カレンダーに印をつける、合言葉を用意するなど、あらかじめ伝え方を二人で決めておきましょう。2人でスケジュールを共有できる妊活アプリを活用するのもおすすめです。
7.身体作りのために何ができそう?
妊娠を目指した健康な身体作りのためには、日々の生活習慣を整えることが重要です。女性はもちろん、男性も生活習慣の乱れが精子の質の低下につながるため、夫婦で一緒に生活改善に取り組みましょう。
身体に必要な栄養素を十分とるため、食事は1日3回、バランスよくとることが大切です。睡眠時間は一般的に6~8時間が適正とされていますが、個人差が大きいため、日中の眠気に困らない時間を見つけましょう。4)飲酒は適量を心がけ、喫煙している場合は禁煙することをおすすめします。
ライフスタイルによって、何をどれくらい取り組めるかは異なります。仕事が忙しくて毎日の自炊が難しいこともあるかもしれません。それでも、手軽にできそうなことから取り組んでみましょう。
サバ缶や冷凍野菜を常備する、お酒やお菓子の買い置きをやめる、ファストフードの頻度を減らして定食屋に行くなど、自分の生活に合った具体的な方法を決めるのがポイントです。
8.不妊治療に対する考え方は?
「不妊」とは、妊娠を望む健康な男女が避妊をしないで性交をしているにもかかわらず、一定期間妊娠しないものをいいます。この一定期間とは、一般的は1年とされています。5)
実際に不妊の検査や治療を受けたことがある夫婦は、2021年の調査6)では4.4組に1組の割合でいると報告されており、年々増加しています。
不妊治療も遠い話ではないため、不妊治療を受けても子どもが欲しいのか、二人の考えをあらかじめすり合わせておくとよいでしょう。
また
- 「1年たっても自然に授からなかったから受診する」
- 「妊活を始める前に検査だけは受けておく」
など、不妊治療に取り組み始めるタイミングについても話し合ってみましょう。
9.妊活が辛くなったらどうする?
不妊治療を始めてもすぐに授かるわけではありません。数年にわたり治療を行っても、なかなか授からないこともあります。終わりが見えない中、費用がかさむことへの不安、仕事との両立の難しさなどが重なると、徐々に心への負担が大きくなることもあるでしょう。
助けてほしいとき、話し合いをしたいとき、お休みしたいときなど、妊活が辛くなったときにどうするかを話し合ってみましょう。辛くなったときのサインを決めておくだけでも安心でき、実際に辛くなったときに相談しやすくなります。
10.どんな未来を過ごしたい?
ここまで妊活や将来のこと、実際に取り組むべきことについてたくさん話し合ってきました。まだ分からないこともあるでしょうし、決めたとしても予定通りには進まないことも考えられます。大変そう、うまくいかないのではないかと、不安な気持ちにもなることもあるかもしれません。
そこで最後は、子どもを含めた家族で何をしたいか、将来の夢を楽しく話し合ってみましょう。こんな家に住みたい、年に1回旅行をしたい、キャッチボールをして遊びたいなど、できる限り具体的に話すのがポイントです。
夢を言葉にし、具体的に想像することは、現実に近づけるための大切な第一歩です。ぜひ二人で明るい未来のイメージを膨らませてみましょう。
たくさん話し合って二人で妊活を
妊活はどちらか一人が頑張るのではなく、二人で協力して行うことが大切です。とはいえ、妊活に対する気持ちや考えは、始めは異なることもあるでしょう。
今回紹介した項目についてたくさん話し合うことで、お互いの価値観を尊重しながらすり合わせ、一緒に人生の計画を立てながら妊活に向けて進んでいきましょう。
1)一般社団法人日本生殖医学会「Q22.女性の加齢は不妊症にどんな影響を与えるのですか?」
http://www.jsrm.or.jp/public/funinsho_qa22.html
2)東京都産業労働局「家庭と仕事の両立支援ポータルサイト 不妊治療と仕事の両立支援の重要性」
https://www.katei-ryouritsu.metro.tokyo.lg.jp/cure/funin/columns/c1.html
3) こども家庭庁「令和2年度 子ども・子育て支援推進調査研究事業「不妊治療の実態に関する調査研究」(最終報告書)」
https://www.dietitian.or.jp/trends/upload/data/342_Guide.pdf
https://www.jsog.or.jp/modules/diseases/index.php?content_id=15
6) 国立社会保障・人口問題研究所「第16回出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)」
https://www.ipss.go.jp/ps-doukou/j/doukou16/doukou16_gaiyo.asp
三樹彩夏
小児科・内科クリニックに勤務後、2020年にフリーランスに転身。「健康的な生活を当たり前にする」をモットーに、ダイエットサポートやライター業を通して食の大切さを伝えている。