栄養価は調理法で変わる!妊活食材ほうれん草の栄養を守るテク

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葉酸は妊活中に欠かせない栄養素の代表格です。ほうれん草には葉酸が豊富に含まれ、妊活中の体づくりや妊娠後の胎児の発育を助けてくれます。この記事では、ほうれん草に含まれる葉酸の量や、栄養を逃さない調理や保存の方法、手軽に取り入れるレシピを紹介します。なお、本記事はPRを含みます。

葉酸とは

水溶性のビタミンであるビタミンB群の一種で、体内でDNAやたんぱく質の合成を助けています。また、赤血球を作るのにも関わっている栄養素で、欠乏すると巨赤芽球性貧血の原因となります。1)

葉酸は全年齢の男女がとるべき栄養素ですが、妊娠中の女性ではより多くの量を摂取する必要があります。特に妊娠初期に葉酸の摂取が不足すると、胎児に「神経管閉鎖障害」という先天性異常が起こるリスクが高まります。2)

女性の葉酸摂取の推奨量

 

12歳以上

妊娠計画中

妊娠の可能性あり

妊娠初期

妊娠中期

妊娠後期

授乳期

通常の食品中の葉酸

240μg

240μg

480μg

340μg

サプリメント・栄養補助食品に含まれる葉酸

400μg

ほうれんそうは葉酸が多い野菜の第3位

葉酸はその名が表すとおり、葉物野菜を始めとした緑の野菜類に多く含まれている栄養素です。特にほうれん草は、枝豆・ブロッコリーに次いで葉酸の多い野菜です。妊活中には積極的に取り入れたい食材といえます。

野菜に含まれる葉酸の量(可食部100g当たり)

▼野菜に含まれる葉酸の量(可食部100g当たり)

野菜の種類

100g当たりの葉酸(μg)

えだまめ(生)

320

ブロッコリー

220

ほうれんそう

210

だいずもやし

85

キャベツ

78

レタス

73

にんじん

21

ほうれん草の栄養素

ほうれん草には、葉酸以外にもさまざまな栄養素が含まれています。ここではほうれん草に含まれる主な栄養素を紹介します。

体内では血液中の赤血球に存在し、全身に酸素を運ぶ役割を持つ栄養素です。鉄が不足すると鉄欠乏性貧血を引き起こし、疲労感や集中力の低下などの症状がみられます。4)

また、鉄不足は排卵障害による不妊症のリスクを高めること、受精卵の成長を妨げる可能性があることも指摘されています。5)

鉄には肉や魚に多く含まれるヘム鉄、野菜などに含まれる非ヘム鉄があります。ほうれん草に含まれるのは非ヘム鉄で、ヘム鉄に比べて吸収されにくいのが特徴です。吸収率を上げるには、動物性たんぱく質やビタミンCと一緒にとることが大切です。

ほうれん草100gには鉄2.0mgが含まれます。野菜類の中では小松菜(2.8mg)、枝豆(2.0mg)、水菜(2.1mg)に次いで含有量が多い野菜です。

カリウム

体内の水分量を一定に調節する働きがあり、余分な水分を排出することでむくみの予防に役立ちます。また、塩分(ナトリウム)を尿中に排出する作用があるため、塩分のとりすぎによる高血圧の予防にもつながります。さらに心臓や筋肉の収縮、神経の正常な働きにも関わっています。

不足すると血圧が高くなるほか、脱力感や筋力低下、不整脈などの症状がみられることがあります。6)

ほうれん草は野菜の中でもカリウムの含有量が特に多く、100gあたり690mgのカリウムが含まれています。

β-カロテン (ビタミンA)

ほうれん草に含まれるβ-カロテンは、体内でビタミンAに変わる成分です。

ビタミンAは目が光を感じるメカニズムを助けるため、視覚の機能を維持するのに欠かせません。また皮膚やのど・鼻などの粘膜を正常に保ち、乾燥や感染を防ぐ働きも持つ栄養素です。

不足すると暗い場所でものが見えにくくなる「夜盲症」や、皮膚の乾燥・角質化、粘膜の乾燥によって感染症にかかりやすくなるなどの症状が現れます。7)

ビタミンAは過剰摂取により胎児の奇形が増加することが知られています。ただしβ-カロテンは体内で必要な分だけビタミンAに変換されるため、とりすぎてもビタミンAの過剰症は起こりません。

ビタミンC

全身に存在するコラーゲンの合成を助ける栄養素です。コラーゲンは全身のたんぱく質の1/3を占めており、細胞同士をつなぐことで皮膚のハリや血管の弾力、骨の強度を保っています。

また、ビタミンCは強い抗酸化作用をもち、老化や生活習慣病を予防にも関わっているとされます。さらに、シミやそばかすの原因であるメラニン色素の生成を抑える作用もあるため、美容の面からも積極的にとりたい栄養素です。

不足すると血管がもろくなり、皮下や歯茎から出血しやすくなる「壊血病」が現れます。疲労感や倦怠感、イライラ、貧血などの症状もみられます。

栄養をできるだけ逃さない食べ方は?

ほうれん草は収穫時期によって栄養価が異なります。また、調理前後でも栄養価は変化します。ここでは栄養をできるだけ逃さずに食べるための食べ方をご紹介します。

▼100gあたりの栄養価

食品の種類 葉酸(μg) 鉄(mg) カリウム(mg) β-カロテン当量(μg) ビタミンC(㎎)
通年平均/生 210 2.0 690 4200 35
冬採り/生 210 2.0 690 4200 60
夏採り/生 210 2.0 690 4200 20

ビタミンCは冬採りのほうが多く含まれますが、その他の栄養素は季節による変動はみられません。妊活のために葉酸を摂取するという観点では、季節による差は考慮しなくてよいといえます。

生野菜と冷凍野菜の違い

ほうれん草は生だけでなく、冷凍品もスーパーやコンビニなどで多く売られています。「冷凍野菜は栄養がない」というイメージを持たれがちですが、本当でしょうか。実際の栄養価を比較してみましょう。

▼100g当たりの栄養価

食品の種類 葉酸(μg) 鉄(mg) カリウム(mg) β-カロテン当量(μg) ビタミンC(㎎)
通年平均/生 210 2.0 690 4200 35
冷凍 120 1.2 210 4700 19

冷凍品では葉酸、鉄、カリウム、ビタミンCの含有量が少なくなっています。ただしゼロになるわけではなく、β-カロテンのように減少しない栄養素もあります。

冷凍野菜には、あらかじめ切ってあるため包丁を使わずに済む、日持ちを気にしなくてよい、少量でも調理に使いやすいなどのメリットがあります。生の野菜を使用するのが難しい場合は、便利な冷凍野菜を活用して少しでもほうれん草を取り入れるとよいでしょう。

生で買ったほうれん草も、長期間保存する場合は冷凍保存がおすすめです。塩ゆでするかレンジで加熱した後、食べやすい大きさに切り、小分けにしてラップに包んでから冷凍すると使うときに便利です。前日に冷蔵庫に移して自然解凍するか、汁物などに凍ったまま入れるとよいでしょう。

生のまま冷蔵庫で保存する期間は1週間が目安です。乾燥しないよう湿らせたキッチンペーパーで包み、根元を下にしてポリ袋に入れると乾燥を防げます。寝かせて保存すると葉が傷みやすいため、深めの容器やドアポケットなどに立てて収納すると長持ちします。

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調理方法による違い

最後は調理方法による栄養価の比較です。

文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」には「ゆで」と「油いため」の2種類の栄養価が掲載されています。生との栄養価の違いを以下の表で比較します。

▼100g※1当たりの栄養素

食品の種類 葉酸(㎍) 鉄(mg) カリウム(mg) βカロテン当量(㎍) ビタミンC(㎎)
通年平均/生 210 2.0 690 4200 35
通年平均/ゆで 77 0.6 340 3800 13
通年平均/油いため※2 81 0.7 310 4400 12

※1重量変化率を考慮してゆでは70g、油いためは58gで計算

※2ゆでてから油で炒めたもの

調理によって葉酸・鉄・カリウム・ビタミンCの量が減少していることが分かります。ゆでると水溶性の栄養素がゆで汁に溶け出すため、栄養素の量は減少します。ただし脂溶性のβ-カロテンは、ゆでても大きくは減少しません。

生の状態で食べれば栄養価を損なわずに済みますが、一般的なほうれん草はアクが強いため生で食べるのは適していません。アク抜きのためにゆでる場合は、栄養の流出を少なく抑えるため、沸騰した湯で1分を目安に短時間でゆでましょう。生で食べたい場合は、品種改良された「サラダほうれん草」や「赤茎ほうれん草」などのアクの少ない品種を選ぶのがおすすめです。

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電子レンジで簡単調理

電子レンジ調理では、ゆでたものよりも栄養価が残りやすい傾向にあります。 「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」には、ほうれん草を電子レンジ調理した栄養価は収載されていません。そこで代わりに、ブロッコリーの電子レンジ調理での栄養価を見てみましょう。

▼100gあたり※の栄養価

食品の種類 葉酸(μg) カリウム(mg) ビタミンC(㎎)
ブロッコリー/花序/生 220 460 140
ブロッコリー/花序/ゆで 130 230 61
ブロッコリー/花序/電子レンジ調理 150 460 130

※重量変化率を考慮してゆで111g、電子レンジ調理は91gで計算

ゆでよりも電子レンジで調理した方が、葉酸やカリウム・ビタミンCの残存率が高いことがわかります。

ただしほうれん草の場合は、電子レンジ調理ではアクの成分であるシュウ酸も多く残ってしまいます。シュウ酸を減らすため、レンジ加熱した後は水にさらすとよいでしょう。

ほうれん草とツナのサンドイッチ

レンジ加熱でほうれん草を手軽に取り入れるレシピをご紹介します。ツナと組み合わせてたんぱく質も摂れる、一品で栄養補給に役立つレシピです。ぜひ試してみてください。

材料(2人分)

  • 食パン10枚切り 4枚
  • ほうれん草 180g
  • ツナ缶 1個
  • 塩 少々
  • こしょう 少々

作り方

  1. ほうれん草は洗って水気を切り、ラップで包んで電子レンジ(600W)で2分30秒加熱する。水にさらして水気を絞り、3㎝の長さに切る。水分が気になる場合はキッチンペーパーで水気をとる。
  2. ツナ缶の汁気を軽く切る
  3. ボウルにほうれん草、ツナ、マヨネーズ、塩、こしょうを入れて混ぜる。好みでごまや刻んだ大葉(分量外)を加えてもよい。
  4. 食パンに(3)をのせて挟み、十字にカットする。

妊活中はサプリメントの併用がおすすめ

ほうれん草には葉酸が多く含まれていますが、妊活中は食事だけでなく、サプリメントからも合わせて葉酸を摂取するのがおすすめです。

妊娠初期に葉酸が不足すると、胎児の神経管閉鎖障害のリスクが高くなることが知られています。神経管が閉鎖するタイミングは受胎後およそ28日であるため、妊娠が分かってからでは間に合わない場合がほとんどです。

そのため「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、妊娠を計画している女性、妊娠の可能性がある女性、妊娠初期の妊婦は、通常の食品からとる葉酸240μgに加え、サプリメントや栄養補助食品などから葉酸を400μg摂取することが推奨されています。

葉酸サプリにもさまざまな種類があります。他にとりたい栄養素や体調のお悩みに合わせて選ぶとよいでしょう。

ただしサプリメントを摂取したからといって、食事から葉酸をとらなくて良いわけではありません。葉酸を多く含む食品の摂取が不足すると、妊娠にとって大切な他の栄養素の不足にもつながります。母体や胎児の健康のために、食事とサプリメントの両方から葉酸を摂取しましょう。

ほうれん草は妊活にぴったり!

ほうれん草は、野菜の中でも葉酸を多く含んでいます。葉酸は妊娠初期の胎児の発育に欠かせないため、妊活中には特に積極的に摂取したい栄養素です。また、鉄やカリウム、ビタミンCなど、健康や美容をサポートする成分もほうれん草から摂取できます。

栄養価を逃さず手軽にとるには、電子レンジでの調理がおすすめです。また、市販の冷凍野菜を活用するのもよいでしょう。ほうれん草を食事に取り入れ、妊娠に向けた健康な体づくりを目指しましょう。

1) 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08517.html

2) 厚生労働省「e-ヘルスネット 葉酸とサプリメント ‐神経管閉鎖障害のリスク低減に対する効果」

https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-05-002.html

3) 文部科学省「食品成分データベース」

https://fooddb.mext.go.jp/index.pl

4) 厚生労働省「e-ヘルスネット 鉄」

https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-022.html

5) ジョージ・E・チャヴァロ、ウォルター・C・ウィレット、パトリック・J・スケレット「妊娠しやすい食生活 ハーバード大学調査に基づく妊娠に近づく自然な方法」マグロウヒル・エデュケーション(2013)

6)厚生労働省「e-ヘルスネット カリウム」

https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-005.html

7)飯田薫子,寺本あい監修「一生役立つ きちんとわかる栄養学」西東社(2019)

三樹彩夏
【監修】管理栄養士

三樹彩夏

小児科・内科クリニックに勤務後、2020年にフリーランスに転身。「健康的な生活を当たり前にする」をモットーに、ダイエットサポートやライター業を通して食の大切さを伝えている。

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