妊活中に痩せたい人必見!NG行動と健康的なダイエット方法
- お金
- サプリ
妊娠しやすい体作りのためには、標準体重を目指すことが大切です。痩せたいと思いながらも、空腹に耐えられるか不安、我慢が辛くて続かないといった悩みもあるかもしれません。極端に制限して行うダイエットはリバウンドしやすいだけでなく、妊活に逆効果になる可能性もあるため、必要な食事はとりながら健康的に減量する必要があります。そこで今回の記事では、3つのステップで無理なく食事を整えるダイエット方法を紹介します。
妊活と体重の関係
肥満も痩せも不妊の原因に
肥満は排卵障害のリスクを高め、不妊につながる要因のひとつです。1)体脂肪が増えることで女性ホルモンが卵巣に届きにくくなること、男性ホルモンの分泌が高まることなどが原因と考えられています。2)
また、肥満の人が妊娠すると、妊娠高血圧症候群になりやすいことも知られています。3)妊娠高血圧症候群は、過去には「妊娠中毒症」と呼ばれた病気です。重症になると、母体にはけいれん発作や脳血管障害、胎児には発育不全や機能不全などを起こすことがあります。4)
ただし、痩せすぎると体脂肪が減り、女性ホルモンの分泌が乱れることで排卵障害が起こり不妊につながります。また、妊娠後も低出生体重児を出産するリスクが高くなります。5)
痩せれば痩せるほどよいのではなく、標準体重を目指すことが大切です。
妊活に理想的な体重とは
肥満度の判定に使用する指標は、身長と体重から算出するBMIです。国際的に用いられている体格指数で、体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)で計算されます。
日本肥満学会の定めた基準では、BMI18.5以上25未満を普通体重としています。特にBMI22を最も病気にかかりにくい数値として定めています。6)
また、BMI20~24の間が排卵障害による不妊のリスクが低いという研究結果もあります。1)
体重が多い場合は、まずはBMI24を目指すとよいでしょう。
▼肥満度分類
判定 | BMI |
低体重(痩せ) | 18.5未満 |
普通体重 | 18.5以上25.0未満 |
肥満(1度) | 25.0以上30.0未満 |
肥満(2度) | 30.0以上35.0未満 |
肥満(3度) | 35.0以上40.0未満 |
肥満(4度) | 40.0以上 |
この記事では、健康的に体重を減らし、適正体重になるためのポイントを紹介します。
痩せの人が体重を増やすための方法は、過去の記事を参考にしてください。(「不妊 痩せすぎ」の記事へのリンク)
やらないで!3つのNGダイエット
1.極端な糖質制限
糖質制限はご飯やパン、麺といった主食を減らすことで糖質の摂取量を控えるダイエット方法です。その他の制限は少なく取り組みやすいことから、手軽なダイエット方法として定着してきました。
糖質制限で痩せるのは、糖質を減らした分だけ摂取カロリーが減るからです。カロリーを持つ他の栄養素に比べて、糖質を制限することに特に効果があるわけではありません。主食を減らした分おかずを増やすと、ダイエットにはならないため注意が必要です。
さらに、過度な糖質制限にはデメリットがあります。糖質は身体のエネルギー源として必要な栄養素で、特に脳の活動には必須です。糖質が不足すると、イライラや頭痛などの症状につながります。また、満腹感を得られにくいため長く続けることが難しく、一度痩せてもリバウンドにつながる恐れもあります。
また長期的に見ると、1日の摂取カロリーのうち、50~55%を糖質からとった場合が最も長生きであるという研究結果もあります。7)糖質は控えすぎず食べすぎず、適度な量をとることをおすすめします。主食の適量については次の章で説明します。
2.サラダだけの食事
カロリーを減らそうと一生懸命になるあまり、サラダなど野菜ばかりの食事をとる人も見かけます。しかし、野菜だけでも栄養は偏るため注意が必要です。
野菜を増やすこと自体は、低カロリーで満腹感を得るのに役立ちます。含まれるビタミンやミネラルは体内のエネルギー代謝を助け、食物繊維は腸内環境の改善につながるため、脂肪を燃やしやすい体作りにつながります。
ただし野菜ばかりでは、糖質やたんぱく質の不足が心配されます。特にたんぱく質不足は、筋肉量が減少し体力が衰える、免疫機能の低下により病気への抵抗力が弱くなるなどの悪影響を及ぼします。妊活や妊娠後に必要な体力や抵抗力を保つため、野菜以外の料理も取り入れましょう。
3.自己流の断食
16時間断食やファスティングなど「食事をしない」健康法やダイエット法が広まりつつあります。食事を抜く、もしくは食事の時間を制限することは摂取カロリーを減らすことにつながります。また、食事と食事の時間を空けることが腸内環境の改善を促し、性ホルモンの分泌のバランスを整えることも期待されています。8)
ただし、食事を抜くと極端に食事量が減るため、エネルギーや栄養素の不足が懸念されます。特に16時間断食では朝食を抜く人が多く見受けられますが、朝食は1日のスタートを体に知らせ、体を正常に働かせるために欠かせない食事です。朝食抜きの食生活は疲労感や便秘などの不調を引き起こすだけでなく、月経痛や生殖機能の乱れなどにもつながる可能性が示されています。9)
このことから、自己流でむやみに食事を抜くダイエット方法は、妊活中には特におすすめできません。
16時間断食のように食事の時間を空ける効果を期待する場合は、食事を抜くのではなく、夕食を早めにとって翌日の朝食との時間を確保するのがよいでしょう。
管理栄養士推奨!ダイエットの3STEP
「ダイエット」というと、食事の量を減らすことをイメージする人が多いかもしれません。確かにそれも必要なことですが、ただ減らせばよいわけではありません。必要な栄養素が揃うように「食事を整える」ことが大切です。
体内では、さまざまな栄養素が関わり合って身体の機能を正常に働かせています。必要な栄養を十分に摂取することで、とった栄養がしっかり代謝され、体脂肪として蓄積されにくい体を目指せます。
ステップ1:食事を見直す
まずは、今の自分の食事を見直し、体重が増えた原因を探しましょう。
毎日の食事を書き出すか、写真をとって記録するのがおすすめです。スマートフォンのアプリを使い、摂取エネルギー・栄養素を計算するのもよいでしょう。
食事のバランスは、食事で以下の3つが揃っているかで判断できます。手の大きさとの比較で、それぞれの理想の量も分かります。自分の手と比べてみましょう。
・主食:ご飯、パン、麺などの炭水化物源になるもの。握りこぶし1個分
・主菜:肉、魚、卵、大豆製品を使った、たんぱく質源になるメインのおかず。材料が手のひらに乗るサイズで、手の厚みと同じくらい
・副菜:野菜、海藻、きのこを使ったサブのおかず。生の状態で両手に1杯
また、お菓子や飲み物、お酒などの嗜好品は、1日200kcal以内が目安です。栄養成分表示をチェックしてみましょう。
ステップ2:バランスの良い食事にする方法を考える
ステップ1で食事を見直すことで、自分の癖を発見できます。気づいたらおにぎりとパンなど炭水化物ばかりになっていた、野菜が少なかった、お菓子を食事代わりにしていたなど、自覚できた点を改善する方法を考え、実践していくのがステップ2です。
手軽にできる例を紹介します。
・サバ缶やツナ缶、魚肉ソーセージなど、長期間保存できるたんぱく質源を買い置きし、足りないときにプラスする
・おかずを作るときにカット野菜や冷凍野菜をプラスする
・ご飯のお代わりをやめる
・麺とご飯の組み合わせをやめる
・コンビニではおかずの種類が多いお弁当を選ぶか、おにぎりやパンにたんぱく質がとれるサラダや具だくさんスープなどを組み合わせる
・飲み物はジュースや甘い紅茶・コーヒーではなく、無糖のお茶や炭酸水に変える
・お菓子の買い置きをやめる、果物に変える
ステップ3:1日にとるカロリーを300kcal減らす
体脂肪1kgは7,000kcalに相当するといわれています。1日あたり300kcal摂取量を減らすと、1ヶ月で1kg減量できるペースになります。
ステップ2で考えた実践内容を組み合わせ、300kcal減らせる対策になるよう取り組みましょう。
カロリー削減の例10)
・ご飯(1杯180g:281kcal)のお代わりをやめる
・ポテトチップス(1袋60g:325kcal)を4連の小袋(15g:81kcal)に変える
・シュークリーム(1個80g:169kcal)をバナナ(1本100g:93kcal)に変える
・ペットボトルの砂糖入りコーヒー(500mL:190kcal)を無糖の紅茶(0kcal)に変える
ダイエットを成功させる秘訣
少し頑張る程度の負荷にする
痩せようと意気込んで急に負荷をかけると、実践が続かなかったり、反動で食べ過ぎてしまったりすることがあります。かといって負荷が小さすぎると、いつまでも変化が感じられず、モチベーションの低下にもつながります。
無理はせず、まずは2週間、少し頑張ればできる程度の負荷から始めてみましょう。取り組みに慣れて生活に馴染んできたところで負荷を増やしていくのがおすすめです。
目につくところに目標を置く
ダイエットしようと思っても、つい面倒になったり今までの癖が出てしまったりして、結局食事を変えられないのはよくあることです。
これを避けるためには、まずはいつまでにどうなりたいか、目標を設定しましょう。体重やウエストだけでなく、憧れの女優やモデル、着たい服のブランドなどを決めるのもおすすめです。さらに、そのために取り組む行動も具体的に決めましょう。
決めた内容は常に意識できるよう、紙に書き出し、冷蔵庫やトイレなどよく目にするところに貼っておきましょう。
できたことに目を向ける
ダイエットに取り組んでも、体重がなかなか減らないと落ち込むこともあるでしょう。1ヶ月1kgペースの健康的なダイエットは時間がかかるものですが、リバウンドしにくいというメリットがあります。
また、体重は水分量などによっても変動します。日によって1kg前後変わることもあるため、実際には体脂肪が減っていても数字に表れていないだけかもしれません。
数字にとらわれる気持ちを抑え、できたことに目を向けて、「今日も体に良い行動ができた」と自分を褒めてみましょう。できたらカレンダーや手帳にチェックをつけるのもよいでしょう。2週間や1ヶ月ごとに自分へのご褒美を決めておくのもおすすめです。
また、バランスの良い食事は体調にも良い影響を与えます。お通じや寝起きのすっきり感など、体調の変化にも目を向けてみましょう。
これらをモチベーションに取り組みを継続することで、徐々に体重や体型にも変化がみられるでしょう。
整えるダイエットで健康的に
標準体重を目指すダイエットは、妊娠しやすい体作りにつながります。妊娠後のリスクを減らすためにも、肥満の人では妊活中の減量が大切です。ただしむやみに食事を減らすと、エネルギー不足や栄養の偏りによって、かえって不調や不妊を引き起こす恐れもあります。体に必要な栄養素を取り入れるため、食事を整えるダイエットがおすすめです。まずは日々の食事を見直し、できるところからひとつずつ変えていきましょう。
1)国立研究開発法人国立成育医療研究センター「プレコンノート」
https://www.ncchd.go.jp/hospital/about/section/preconception/preconnote/action/action1.html
2)堂地勉.肥満の性機能に及ぼす影響.Jpn J Psychosom Med. 2013, 53:640-645
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjpm/53/7/53_KJ00008721948/_pdf/-char/ja
3)一般社団法人日本妊娠高血圧学会「Q2:「妊娠高血圧症候群になりやすいのはどんな人ですか?」」 https://www.jsshp.jp/patient/pdf/Q2.pdf
4)一般社団法人日本妊娠高血圧学会「Q1:「妊娠高血圧症候群とはどんな病気ですか?」」https://www.jsshp.jp/patient/pdf/Q1.pdf
5)厚生労働省「妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針~妊娠前から、健康なからだづくりを~ 解説要項」https://www.mhlw.go.jp/content/000776926.pdf
6)厚生労働省「e-ヘルスネット 肥満と健康」https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-02-001.html
7)厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08517.html
8)Sofia Cienfuegos, et al. Effect of Intermittent Fasting on Reproductive Hormone Levels in Females and Males: A Review of Human Trials. Nutrients 2022, 14(11):2343
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35684143/
9)藤原智子.朝食欠食と月経痛―食生活様式の乱れによる体内時計と性機能障害―.日本家政学会誌.2018, 69(8):637-641
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jhej/69/8/69_637/_pdf
10)文部科学省「食品成分データベース」https://fooddb.mext.go.jp/index.pl
三樹彩夏
小児科・内科クリニックに勤務後、2020年にフリーランスに転身。「健康的な生活を当たり前にする」をモットーに、ダイエットサポートやライター業を通して食の大切さを伝えている。