妊活の大敵「冷え」 お手軽薬膳で冬を乗り越えよう!

  • 妊娠
  • 妊活

冷え性で悩む女性は多く、妊活中も冷えが気になることがあるかもしれません。冷え性は血行不良を引き起こし、月経不順など妊娠を妨げる状態につながるおそれがあります。

そこで今回は、薬膳に基づいた体を温める食材と、その上手な取り入れ方をご紹介します。食材の選び方を工夫するだけで簡単に冷え対策ができるので、ぜひ日々の食生活に役立ててみてください。

薬膳の考え方

薬膳は中国の伝統医学である「中医学」に基づいた食事のスタイルです。食材や調理法のそれぞれに意味があり、季節や体調に合ったものを選ぶことで身体の調子を整えることができるとされています。

中医学が目指す健康とは、心と体の両方のバランスがとれている状態です。食材選びも同様に、バランスを意識することが大切です。これから体を温める食材について紹介しますが、これらの食材だけを食べれば良いという訳ではありません。

とりすぎると興奮状態になり、体がほてりやすくなるといわれています。身体を温める食材を意識的に取り入れながらも、他の食材も組み合わせてバランスよく食べることで冷えない体を目指しましょう。

身体を温める食材を知ろう

薬膳では、食材を性質や作用で分類します。ここではそれぞれの分け方と、該当する食材について説明します。

性質で分けた「食性」

「食性」とは、食べ物が持つ体を温めたり冷やしたりする性質のことです。「熱・温・平・涼・寒」の5つに分けられ、「熱・温」は体を温める性質、「涼・寒」は体を冷やす性質を持ちます。「平」はどちらの性質も持たない食材です。

一般的に、「熱・温」は寒い地域で育つものや冬が旬のものが多く、「涼・寒」は熱い地域で育つものや夏が旬のものが多く該当します。季節や気候に合わせて食材を選ぶと、体調を整えるのに役立ちます。特に冷えを感じる場合や寒い時期には、熱や温の性質を持つ食材を積極的に取り入れると良いでしょう。

食性 特徴 食材
身体を温める作用が最も強く、冷えを感じている人に適しています。ただし、のぼせやすい人や熱がこもりやすい人は、摂りすぎに注意しましょう。 ・羊肉
・とうがらし
・こしょう
・さんしょう
・シナモン
熱ほど強くないものの、身体をじんわりと温め、胃腸の働きを整えます。食欲不振や疲労回復にも効果的です。 ・鶏肉
・牛肉
・あじ
・いわし
・鮭
・えび
・まいたけ
・かぼちゃ
・たまねぎ
・にら
・にんにく
・しょうが
・みょうが
・くるみ
身体を温めたり冷やしたりせず、バランスを整える食材です。どの体質の方にも適しています。 ・たまご
・豚肉
・さば
・いか
・米
・大豆
・じゃがいも
・にんじん
・ブロッコリー
・白菜
・ごま
・りんご
寒ほど強くはありませんが、身体を冷やし、熱を落ち着かせます。ほてりやのぼせの改善に役立ちます。 ・豆腐
・大根
・きゅうり
・アスパラガス
・ほうれんそう
・レタス
・オレンジ
・緑茶
身体を最も冷やす食材です。溜まった熱や毒素を排出し、夏バテ予防や便秘の解消に効果的です。 ・しじみ
・昆布
・わかめ
・トマト
・ゴーヤー
・ごぼう
・れんこん
・すいか
・キウイフルーツ
・バナナ

味で分けた「五味」

「五味」は、食べ物を味によって分類する方法で、「酸」「苦」「甘」「辛」「鹹(かん)」の5つに分けられます。

それぞれの味に、影響を受けやすい身体の部位があると考えられています。例えば「苦」は中医学でいう「心」に作用し、血液の巡りを良くしたり、精神を安定させたりします。ただし、とり過ぎると胃腸の不調や冷えを招く可能性があります。

身体を温める作用があるのは「辛」です。「辛」は「肺」に届き、呼吸器の機能や免疫機能を高めることも知られています。

なお、中医学での「心」や「肺」といった体の部位に関する概念は、西洋医学の心臓や肺とは異なる独自の考え方に基づいたものです。

五味 特徴 食材
すっぱい 発汗や排泄を抑制し、出しすぎを防ぐ作用があります。また、ストレス解消にも役立ちます。 ・レモン
・みかん
・梅
・いちご
・酢
・ヨーグルト
にがい 余分な水分や熱を排出し、解毒する作用があります。イライラを落ち着かせ、のぼせを軽減します。 ・ゴーヤー
・ピーマン
・ごぼう
・きゅうり
・緑茶
・コーヒー
あまい 虚弱体質の改善や、筋肉の緊張を和らげて痛みを緩和します。胃腸の働きを助ける効果もあります。 ・米
・大豆
・くるみ
・きゃべつ
・さつまいも
・卵
・鶏肉
・バナナ
・はちみつ
からい 身体を温め、発汗を促して余分な水分を排出します。 ・だいこん
・ねぎ
・にら
・しょうが
・にんにく
・しそ
・とうがらし
鹹(かん) 塩辛い 便を柔らかくする作用があります。特に便秘改善に役立ちます。 ・あさり
・いか
・えび
・わかめ
・塩
・しょうゆ

冷え対策に欠かせない!おすすめ食材3選

しょうが

五性は「温」五味は「辛」の食材で、身体を温める代表的な食材です。漢方では「生姜(しょうきょう)」と呼ばれ、生薬として使われます。

科学的にも、しょうがに含まれる「ジンゲロール」による血行促進作用や体を温める働きが知られています。また、加熱したり乾燥したりすることによって辛み成分が「ショウガオール」に変化し、内臓の働きを活発にして体の中からの冷え改善につながると考えられています。1)

にら

五性は「温」五味は「辛」の食材で、疲労回復、食欲増進、冷え性の改善に効果があるとされています。しょうがと同様に生薬としても使われ、「韮子(きゅうし)」と呼ばれています。

にらの強い香り成分である「アリシン」には胃液の分泌を促す働きや、内臓の働きや新陳代謝を活発にする作用が知られています。2)

ただしアリシンは熱に弱いため、加熱しすぎずにサッと炒めて食べるとよいでしょう。また、ビタミンAやビタミンK、葉酸などのビタミン類も多く含まれています。2)

えび

五性は「温」五味は「甘」と「鹹」に分類されます。特に足腰が冷える人に適した食材です。中医学では生殖機能を司る「腎」を補強するため、妊活にも効果的とされています。アリシンが含まれるにんにくやにらと一緒に料理するのもおすすめです。
えびについては別の記事でも紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

「妊活中はえびを食べるべし!理由を管理栄養士が徹底解説!」

上手に取り入れるために。気をつけたいこと

冷やす食材は加熱して

「涼」や「寒」の食材を食べる場合は、加熱することをおすすめします。

体を冷やす食材だからといって、食べてはいけないわけではありません。例えば、「寒」に分類されるれんこんは、潤いを与える食材であり、冬の乾燥対策に役立ちます。加熱すれば体を冷やす作用は和らぐため、調理法を工夫しながら取り入れてみましょう。

食事のバランス

食事は主食・主菜・副菜のバランスが大切です。特に冷えが気になる人は、たんぱく質が不足していないか確認してみましょう。
たんぱく質は、体内で熱を生み出す筋肉のもととなります。

また、食事の後は体熱が作られ体が温かくなりますが、どれくらい熱を産生するかは栄養素の種類によって異なり、たんぱく質が最も多くの熱を生み出すことが知られています。3)たんぱく質が含まれる肉・魚・卵・大豆製品を、合わせて毎食手のひら一つ分とれているか確認してみましょう

脂質はほどほどに

お菓子や油の多い食べ物は控えめにしましょう。脂質が多いものは消化されにくく、中医学でも体の巡りを妨げる食材とされています。スナック菓子や生クリーム、揚げ物などは毎日食べないようにし、特に夜は控える工夫をしましょう。

薬膳でさよなら冷え体質

今回は、薬膳を活用した冷え対策の食事法を紹介しました。薬膳は中医学に基づいた食事法で、食材を性質や味によって分類します。しょうが、にら、えびなどの「熱」や「温」、「辛」の食材を積極的に取り入れてみましょう。

ただし、これらの食材だけを食べ続けると体がほてりやすくなり、栄養バランスも崩れる可能性があります。体を冷やす食材も温めれば作用は弱まります。さまざまな食材を取り入れたバランスの良い食事を心がけ、健康的な体づくりに取り組んでいきましょう。

1)農林水産省「生姜は体を温める効果があるそうだが、どのような成分が働いているのですか。」

https://www.maff.go.jp/j/heya/sodan/1811/01.html

2)独立行政法人農畜産業振興機構「今月の野菜 にら」

https://vegetable.alic.go.jp/yasaijoho/yasai/0806_yasai1.html

3) 厚生労働省「e-ヘルスネット 食事誘発性熱産生/DIT」

https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/exercise/ys-030.html

4) 田村正隆(2021).「理由がわかればもっと整う!漢方生活を楽しむ教科書」ナツメ社

三樹彩夏
【監修】管理栄養士

三樹彩夏

小児科・内科クリニックに勤務後、2020年にフリーランスに転身。「健康的な生活を当たり前にする」をモットーに、ダイエットサポートやライター業を通して食の大切さを伝えている。

一覧へ戻る

子宝に恵まれたいと思った方へ

子宝の神様 木村さん はご夫婦の願いを
成就させる神様です。

子宝絵馬奉納

安産絵馬奉納