マタニティ旅行はいつまでOK!?話題の「マタ旅」で注意したいこと
- 妊娠
赤ちゃんを迎えるまでの大切な時間、マタニティライフは人生の中でも特別な時間ですよね。そんな特別な時に、より彩りをそえてくれるであろう「マタ旅」に、多くの方は憧れを抱きます。しかし、そんな夢いっぱいのマタ旅には、予期せぬリスクも潜んでいるのです。
今回は妊娠中の旅行で注意すべき健康リスクから、医師からのアドバイスまで、マタ旅を考える妊婦さんへ向けて、大切な情報をお届けします。
マタ旅が人気の理由
抱き枕や、マタニティ用のコース料理を用意してくれるなど、マタニティプランが充実した温泉宿や旅館も数多く増えてきました。
マタ旅を計画する妊婦さんからは
- 赤ちゃんが生まれたら、しばらくは旅行になんて行けないから今のうちに旅行に行きたい
- 夫婦2人だけの思い出づくりをしておきたい
といった声も数多く聞かれます。
確かに、妊娠するとストレスがたってイライラしたり、気分がしずんでしまったりすることがあります。延々とつらかったつわりが、旅先では出なかった等、旅がリフレッシュの良い気分転換になり、妊娠生活や出産に対して、前向きになれるというメリットもあるようです。
マタ旅を行う適切な時期
マタニティ旅行について、一般的には妊娠中も安全に楽しむことが可能ですが、医師や専門家からは特に注意を払うべき時期があります。安全に旅行を楽しむためには、妊娠中のどの期間に旅行するかが重要です。
(1) 妊娠初期(1〜12週)
妊娠初期は、胎児の臓器が形成される重要な時期であり、激しい活動や長時間の移動は避けるべきです。また、この時期はつわりが強く出ることも多く、体調不良により旅行が困難になる可能性があります。
(2) 妊娠中期(13〜28週)
多くの医師が推奨するのは妊娠中期です。この時期はつわりも落ち着き、胎児も比較的安定しているため、最も旅行に適しているとされます。ただし、個々の健康状態や妊娠の進行具合によっては、医師の診断を受けることが重要です。
(3) 妊娠後期(29週以降)
妊娠後期に入ると、お腹も大きくなり、体への負担が増大します。また、予期せぬ早産のリスクも高まるため、特に長距離の移動は避けた方が良いとされています。
マタニティ旅行は妊娠中期の13週から28週にかけてが最もおすすめされる期間です。しかし、どの時期に旅行するかは、個々の健康状態や妊娠の進行状況、医師の意見を最優先に考慮することが必要です。安全で快適なマタニティ旅行を計画するためには、万全の準備と適切な時期選びが鍵となります。
海外・国内旅行。マタ旅の危険性について
海外旅行に出かける場合
マタ旅には多くの危険性もあります。まず、長時間の移動はエコノミークラス症候群のリスクを高めます。
妊娠中は血液が固まりやすくなるため、長時間同じ姿勢でいると血液の流れが悪くなり、血栓ができやすくなります。予防するためには、定期的に席を立って歩く、足を動かすエクササイズをするなど、意識的に血流を良くする工夫が必要です。
また、海外旅行の場合、言葉の壁や医療体制の違いが大きなリスクとなります。万が一の健康トラブルや緊急事態が生じたとき、スムーズに医療サービスを受けられるかは、訪れる国や地域によって大きく異なります。
事前に現地の医療体制や緊急時の対応を調べておく、必要な医療用語を現地の言葉で覚えておくなど、準備をしておくことが重要です。
数泊の旅行で行ったつもりなのに、早産になってしまい、治療が終わるまで何ヶ月も帰ってこられない、という事態に陥る可能性もあります。
また、海外であった場合は、その国の医療水準によって受けられる医療の質が大きく変わってきます。言葉の問題や、医療費の問題も発生します。無事に命は助かったものの、医療費だけで数千万円の請求を受けたというケースもあるのです。
国内旅行に出かける場合
それでは、日本国内であれば、どこでも問題ないのでしょうか?多くの産科医院は予約制です。旅先では、診察を受けたくても産科医院がなかなか見つからない場合もあります。
また、旅先で交通事故に遭遇したり、破水したり、何らかのトラブルが起きる可能性は日本国内でも同じです。
幸いにも救急搬送され治療を受ける事ができでも、治療が終わるまで何ヶ月も帰ってこられない、という事態に陥る可能性は、海外でも日本国内でも同様です。
現地の産科医療の負担
また、現地の産科医療の負担になるという問題も、考えていただきたい点です。マタ旅でも常に人気の石垣島ですが、島内の医療体制は緊急時でも万全とはいえません。
地元地域の妊婦さんであっても、島内の病院で対応できずにドクターヘリで沖縄本島まで搬送されるケースもあります。これらの問題は、沖縄だけのものではありません。
産科医の不足している地方では、地元地域の妊婦さんを診るだけでも精一杯なのに、そこに、急患がくることで、本来予定されていたはずの診療やお産が予定通りに行えなくなってしまう事もあるのです。
また、マタ旅の話題で必ずあがる「自己責任」という言葉。この、自己責任という言葉の真意には「旅先では必ずしも適切な対応が受けられるわけではない」という意味が含まれているのです。
決して、妊婦さんを突き放す言葉ではありません。産科医は、赤ちゃんとお母さんを守りたくて日々奮闘しています。そのなかで、少しでも、母子ともに問題なく出産ができるようアドバイスをしているのです。
マタ旅行は、最終的には自己判断です。ご家族や主治医とよく相談して検討するようにしましょう。みんなで、より良い案を探していけるといいですね。
緊急時の対策
危険性も踏まえた上で、旅行に行く際は、必ず緊急時の対策を行っておきましょう。かかりつけ医に事前相談し医師に旅行計画を伝え、移動手段や行程などの助言をもらう。その上で、旅行先の医療機関の情報を事前にリストアップしておく。
健康保険証と母子手帳は常に携帯する。必要な医薬品を持参する。これらの、対策を事前にとっておきましょう。
また、旅行の日程は、時間に余裕のあるスケジュールを組みましょう。そして、少しでも体調が悪化した場合は、勇気をもってキャンセルをしてください。引き返さなった事で、後悔がうまれることになります。ぜひ、赤ちゃんの事を一番に考えて決断してくださいね。
最後に
マタ旅は、心身ともにリフレッシュできる素晴らしい機会ではありますが、妊娠中の体は通常時とは異なり、特別な配慮が必要です。安全に楽しむための準備と心構え、そして旅行先での適切な行動が、マタ旅には必要となります。
後悔のない出産にできるように。あなたのマタニティライフを大切に過ごしてください。